2023/4/30 ARABAKI ROCK FEST.23

⚠️記憶があやふやなところがあります。自己満足に綴っております。

 

set list

1. 劣等上等

2.SCORPION

3.煩悩遊戯

4.Boy

5.十中八九

6.新曲

7.第六感

8.煽げや尊し

 

 

荒吐フェスは今回が初参戦。宮城県の山中ということもあり、バスで揺れに揺れて少しだけ酔いながらも会場に到着。幸いに雨は降っておらず、過ごしやすい気温だった。半袖で少し肌寒いくらい。

 


今までのフェス会場は有名だったり、行きやすい場所だった為に人集りが多いイメージがあった。1時間以上前からハタハタステージでファンや、アーティストReolの存在が気になった方がどんどん集まって待ち遠しそうに待機する様子をじっとみていたけれど、普段に比べて全体的に間があり新鮮だった。

前に出演していた、バンドのセッティングが次々とステージの袖に履けられていく。そして、見慣れたお立ち台が手際よく作られて、気付けばReolのステージが完成していた。今回は、SNSで演者・ダンサーの前情報もなく、舞台上もお立ち台のみだった為に、久しぶりにReolだけのパフォーマンスが見えるな、と自分なりに期待が上がっていた。

Reolのステージはいつだって、その時々で変化する。Reol自身が1人で壇上に立つのは珍しいことではなく、久しぶりだなという感覚。ツアー〃新式浪漫〃を経て、Reolとしての物語の章が切り替わったようにも感じる。

 


フェスといえば、リハーサルが見れるのも醍醐味。今回もあるものだろうと期待しながら待っていたけれど、一向に始まる様子はない。30分前、20分…10分とゆっくり時が刻まれて、心臓の打つスピードがどんどん上昇する最中、【-BWW SCREAM-】が大音量で響く。Reolの音を代表すると言っても良い程、彼女らしさを全開に表したインスト。時間と共に加速していた心臓が、より激しさを増す。

 


会場の期待値が急上昇してから少し待機していると、お待ちかねのReolが舞台袖から姿を見せる。最後に見た姿は着物だったため、フェスの為に用意された衣装に身を包んだ彼女は新鮮だった。シンプル。でも、Reolらしい衣装。

 


バチッバチッと音がステージを揺らして【劣等上等】が始まると、会場は一息のんだあとに歓声が湧き上がる。久しぶりのこの曲。フェスにぴったりの会場を揺らす曲。頭が音楽にジャックされて、とにかく「Hey!Hey!」と腹の底からコール。思いっきり声を出せることがこんなに心地よかったなんて、久しぶりに感じる。この曲はやっぱりReolと一緒に掛け合いたい。初手に関わらず、変わらぬ力強い歌声と、観客を湧き立たせる振り。Reolの世界が荒吐の会場を包み込んでいくのが心地いい。

 


続いて、〃新式浪漫〃で圧倒的な高尚さを見せつけた【SCORPION】のイントロが流れ始めると、観客からは抑えられない歓喜の声があがる。フェスでの【SCORPION】は、新式のイメージとは違って一体感があった。新式のはどちらかと言えば崇拝に近い感じ。みんなで声を揃えて「コンプレックス!コンプレックス!」と力強く返すのが本当に楽しくて、一緒に音楽に乗れるのが嬉しくて仕方なかった。

 


3曲目は、フェスでも定番の【煩悩遊戯】。会場内を最高にぶち上げてくれるこの曲は、気が付くとフェスの鉄板になっているように思う。声出しライブに参加していた以前からのファンが、腹から声を出しながら馴染みのあるレスポンスを返していたのが嬉しかった。【煩悩遊戯】は本来はこう。一人一人、前列、後列にしっかりと目を配りながら、自分の音楽・声を届けようとする姿が目から離れなかった。

 


いつか、声を出して一緒に音楽を楽しめる日が来ると信じて。シンガロングできるようにと願って作られた【boy】。私もいつかそんな日が来るといいな、と思いながらこれまではライブ会場で手で響かせながら返してきた。いつなんて分からないし、コロナの中でそんな未来があるとも思えなかった当時。でもきっと、【劣等上等】⠀や【煩悩遊戯】、【十中八九】を初めとして、色んな曲を一緒にコールアンドレスポンス、シンガロングしてきた過去のライブの積み重ねがあったからこそ、コロナ禍の中でも【boy】は制作されたんだろうと、改めて感じた今回だった。

マイクを客席に向けて、頷きながら、微笑みながら一緒に歌う。リスナーの私だってずっと一緒に歌いたいと思っていて、それが実現できたのが荒吐で良かった。声に気持ちが全部込められていて、ダンサーと踊りながらのもいいけれど、ずっとこんな【boy】が聞きたいって思ってた。

 


【十中八九】のメロディが流れ始めると、観客はもう待ってましたとばかりに跳ねて飛ぶ準備に。【煩悩遊戯】に続き、ライブのボルテージを一気にあげてくれるのは【十中八九】。一部、歌詞が混合したように見えたけど、きっとあれは観客側のレスポンスに意識が持っていかれてたからだろうなって、私は感じた。それほどまでに、今回のライブは観客とのやり取りを1番に楽しんでいたように思う。箱の中で、歳も体裁も忘れて思いっき音楽にノるのもいいけれど、空の下で何も気にせず声を出して一体感を感じるあの瞬間が最高に熱い。

 


「新曲をやります」と、観客に向けて告げた一言で更に湧くのは私も例外ではなく。リスナー側の反応を見て、Reolも目尻を下げながらゆっくりと私たちに問う。

フェスに参加していない方々に、私の口からその背景や意を伝えるのは少し違うと思うので、今回は内容を割愛。

社会や不安定な場所で、自身を見失いそうになったり、大きな波に攫われてしまいそうになっている人に向けて、とても響く一曲。我武者羅に頑張って、肯定できない自分の気持ちは置き去りにして。そんなズタズタになっていた心をピカピカと照らしてくれる素敵な曲だった。ファーストコンタクトはこんな感じ。【secret trip】とは全く違うけれど、強さを貰える曲。Reolの伝えたいことはいつだって、目を背けたいくらいの自分のドロドロ、他人や自分も否定してしまう根っこの部分を照らして、寄り添ってくれる。

 


新曲からの【第六感】ほど心強いセトリの流れは無い。〃新式浪漫〃のセトリの流れと対極にある感じ。自分の核を更に強く持てとばかりに、歌いあげていく。ほんの少し前までは、【第六感】が新品で新しい存在のように感じていたのに、今になっては無くてはならない曲に変化した。新しいものじゃなくて、支えてくれる曲。

フェスのステージが終わったあと、初めてReolを生で聞いたであろう2人組の方が「第六感しか知らなかったや」と、話しているのが聞こえた。でもその後、「カッコよかったね」と微笑みながら次のステージに向かっていた。〃第六感〃の外交的なイメージは変わらず、Reolの魅力を色んな所に広げている曲で、実際に目撃してみると、私も誇らしい気持ちになってしまった。

 


最後の曲は、【煽げや尊し】。〃新式浪漫〃のトリをも務めた曲。祭りのあとの物寂しさを感じるメロディと共に、Reolは観客へと言葉を投げかける。ワンマンとは違って、短い時間だったけれど濃厚な時間だったから、余計に終わりが見えることが寂しかった。いつからだったか、Reolは〃次〃の約束をしてくれるようになった。明確な内容を告げるわけではないけれど、私たちに未来を与え続けてくれるんだと安心させてくれるようになった。それは、応援してきた私たちがずっと欲しかったもので、こうやって交わすことができるのがとても嬉しい。

最後の会場のボルテージがMAXになったところで、Reolは手を軽く上げながら会場を背にした。あっという間の時間だった。

今回のフェスは普段よりもMCの時間を長く取っていた。1呼吸置いた合間の〃かわい〜!〃のファンの声にも「もっかい言って」「ありがと」と返してくれたり、新曲に込められた思いを丁寧に伝えてくれたり。リスナーとのやり取りが、ツアー中の地方公演のようで楽しかった。

 

リハビリの最中のステージで、できることならめいいっぱいまで休んで欲しいと思っていたけれど、やっぱりパフォーマンスを目の当たりにすると出演してくれて嬉しい気持ちが勝つ。怪我を感じさせないほどの変わらない演出に、やるからには完璧に、の彼女の美学が脳裏を過ぎった。

今年は色んな場所で、色んなアーティストと交わったり、パフォーマンスを行うスケジュールが組まれている。数ヶ月に渡っての外交が連続するのは初めてで、楽しみからそわそわと落ち着かないけれど、誰かに魅力を引き出されるReolも見てみたい。生の音楽は瞬間的で、そこをどうキャッチして受け取り、返すかはリスナー次第。

フェスは、そんな貴重な一瞬をたくさん生み出してくれるから大好き。

 


大規模なツアーは終わっちゃったけど、今年も一緒に色んな景色を見たいなあ。